甑島のパワースポット探し
最近、「パワースポット」という言葉をよく聞くようになった。気やエネルギーが集中している場所をいうらしく、信仰の対象になっている神社や寺院だったり、遺跡だったり、自然の中だったりする。
そんな場所を訪れると、癒しやパワーをもらえるというので、ちょっとしたブームになっている。
昨年の3月、アメリカのボルダーに住んでいる妹の千和(紹介はこちら、ブログはこちら)が帰ってきたときに、甑島のパワースポットを探そうということになり、自分の独断で場所を絞って親族4人で下甑島を巡った。
妹は20年近くヒーリングに携わっており、世界のパワースポットを知っている。
最初に鹿島町の東海岸にある林川原に行った。ここには神功皇后にまつわる伝説があり、「インナイ山」と地元の人々が呼び、入ったら病にかかると言い伝えられている小山もある。私は最近まで北側にある100m近い断崖と瀬島からなる岬を「ミタレ」だと思い込んでいた。実際はそうではなく、岬の手前にある岩の谷間に水が流れ落ちている場所を指すらしく、神功皇后がその水で手を洗われたことから「ミタレ」と呼ぶのだそうだ。
岬の断崖と地層もすばらしいが、「ミタレ」のすぐそばにある大理石を想起する真っ白い岩の層がこれまたすばらしい。長い石浜の海岸を有し、川があり、南側にはにごりが浦の断崖があって下甑との町境になっている。癒しをもらえる空間だということは、4人とも異存がなかった。
瀬々野浦断崖の壁立にも林道大内浦線の舗装が切れているところから歩いて行った。いつ崩れるか分からないからその名がついたという「イマグエ」の真上まで約30分。
林の中のなかなか視界が開けず退屈しがちな状況から一転、突端にたどり着き全方位に約250mの高さから視界が開けるときの爽快感は格別である。
突端の岩の上に立つと、左手前方にナポレオン岩が臨め、神功皇后が軍船を停泊したという大内浦が手前の奥の方にあって、大きく湾曲している。すぐ右下には断崖観光ですっかり有名になったコシ瀬の洞窟があり、その先に三つの頂きを持つ約200mのコガミアイの断崖が海から屹立している。裾野に金山海岸を従え、内川内集落のシンボルとなっている帽子山が右奥にあり、遙か遠方に鹿島断崖、上甑島が臨める。
もう少し遊歩道の整備が必要であるが、壁立から眺める景観は紛れもなく甑島屈指の絶景である。みんながそんな思いを抱いていた。
観光コースの瀬尾の観音三滝にも足を運んだ。妹は水のあるところが特に好みなので、ここも大変気に入っている。自然の中で瞑想することが習慣になっている彼女は、一日中でも過ごせると話していた。
さて、甑島のパワースポットをどこに絞り込むべきか、実家に帰ってから4人で談義になったが、結論が出るのは早かった。
結局、甑島全部がパワースポットだということになった。