甑島の秘境内川内
下甑島の最高峰・尾岳の南側、標高200~300mの山の斜面に内川内集落はある。
28世帯37名が農作業を営んで静かに生活をしており、平均年齢77歳、高齢化率83.7%の限界集落である。
台風時には、海岸から暴風が容赦なく吹き上がってきて、雨は集合しながら迫を下り、勢いよく集落内を流れる。厳しい自然環境にあるが、人々は臆することなく、故郷で生活できる幸せを感じながら日々を暮らしている。
集落が形成されたのは18世紀初め、瀬々野浦地区から6戸が移住してきたのが始まりだといわれている。大正8,9年頃の記録によると、人口は312人もいて、馬を26頭、牛2頭、鶏61羽、山羊17頭を飼育し、海岸には船が3艘いて漁を営んでいた。
海岸は美しい砂利浜になっていて、かつては漁業の場であり、子供達の遊び場であり、大きな物資を集落にあげる場でもあった。従って、集落から海岸まで約30分を要する「浜道」は重要な役割を果たしてきており、先人が踏み固めたその道は、ほとんど通ることがなくなった今でも、しっかりと残っている。
内川内には、2段になって落ちるすばらしい滝がある。それぞれ落差は約25m。
海からも眺めることができるが、海岸の近くから渓谷をしばらく登っていくと、2段目の滝が落ちる所まで行くことができる。間近で滝と向き合うと、敬虔な気持ちになり、しばし時間を忘れて見上げてしまう。癒しの空間が広がっている。
これから数回にわたり、内川内集落の歴史や生活、すばらしい自然景観などを紹介していきたいと思います。